LIILII『パッサカリア』 ロベール・パンジェパッサカリアは変奏曲の一形式で、低音に同じ旋律を繰り返すオスティナートを持ち、その旋律の一回ごとに上声部が変奏を続けるのが特徴という。本書のタイトル及び構成はバッハのパッサカリア ハ短調…5 min read·Jan 18, 2024----
LIILII『装飾する魂―日本の文様芸術』 鶴岡真弓中国及び西洋から影響を受け成されてきた日本の装飾美術、その創意と装飾に魅せられる心性を探る試み。軽い読み物として図版を眺めるだけでも楽しい。4 min read·Jul 26, 2023----
LIILII『去年マリエンバートで』不確実性に突き落とされ眩暈を覚える。初めポール・デルヴォーの作品から受ける感覚に近いと感じたが違う。デルヴォーは理想を制止した時の中に閉じ込めて眼差し続けるのに対し、本作の語り手にとっては理想のみが生き生きと立ち回り、それ以外は死者に等しい。4 min read·Apr 26, 2023----
LIILII『ヴィリコニウム──パステル都市の物語』 M・ジョン・ハリスン遠未来、科学の知識は失われ、人々は廃棄物の発掘によって生を繋いでいる。文明の黄昏においてもなお欲動は耐え難く人間を突き動かし、血腥い争いや裏切りは絶えない。しかし、錆と化した都市に均しく全てが砂塵に埋もれそうな圧倒的な荒涼がある。テジウス゠クロミスはかつて王の騎士団に所属する比類…1 min read·Mar 12, 2023----
LIILII『アカシアは花咲く―モンタージュ』 デボラ・フォーゲルモンタージュ技法を用いた詩的散文。共感覚が疑似的に引き起こされるような、不思議な味わいが心地よい。3 min read·Jan 30, 2023----
LIILII『水の中のナイフ』 ロマン・ポランスキー裕福な夫アンジェイと妻クリスティーナ、偶然出会った苦学生の青年、3人の心理をヨットという閉塞的な舞台で描き出す。ジャズをバックに巧みな構図が取られ、監督デビュー作とは思えないほど洗練された印象だ。『太陽がいっぱい』を想起するが、それとはまた別の静かな味わいがある。2 min read·Jan 9, 2023----